DXと事務改善

「時代はDX(デジタルトランスフォーメーション)。そこで我が組織もDXを最大限活用し、ビジネスモデルを、業務を、こう組み立てていこうと考えます」などという説明を、みなさんよく聞かれたことがあるでしょう。しかし、同時に、以下のなじみのある歌詞が頭に浮かんだ方も多いに違いありません。

こんなこといいな できたらいいな
あんなゆめ こんなゆめ いっぱいあるけど
みんなみんなみんな かなえてくれる
ふしぎなDXで かなえてくれる

あれもできる、これもできる、それもできる…と考えていくのはいいことだと思います。そもそも、できると思わないことには話が始まらないでしょう。このような「お花畑」系の議論は、まずはイメージすることが何よりも大事だからです。
しかし、我々に「ドラえもん」はいません。「お花畑」系の議論をイメージするのはいいのですが、現実には、これを実際の事務フローに落とし込む必要が生じます。そこでは、必ず机上での検討から始まります。
もちろん、机上での検討ですから、最初から100%効率的な事務フローなどできているはずがありません。実際に使ってみて、職員や従業員、あるいは顧客の意見を聞きながら修正を繰り返していくことが重要となるのです。
例えば、これだけインターネット経由の取引が多くなっているにもかかわらず、申し込みをするホームページの文字は小さく、動きも悪く、途中までの入力を保存できるようにもなっておらず、手元での必要性の定かではない確認作業が多く求められるなど、なんだかなあと思うような企業等も多いと思います。取引をホームページで行うからこそ、ホームページに関する細かな修正作業の積み重ねに注力すべきなのです。こんなことはないとは思いますが、関連会社等に丸投げして終わりとするべきものではないのです。

実際に使っている職員や従業員、顧客の反応は、宝の山です。だからこそ、これらを、そこでの気づきをすくい上げることのできる事務改善活動が重要となるのです。

更にいえば、その延長線上には、DXにより事務をどう組み立てるかについて考えつつ、いったんできた事務フローをより良きものにしていくために、事務改善活動をどう徹底していくのかなどが非常に重要となってきます。

管理会計の母体となった工場においては、これらは生産管理部門が担当していました。そこでは生産エンジニアといわれる方々(昔は能率技師といういい方もあったようです)が活躍していました。ここから考えると、ホワイトカラーのオフィス業務においても、生産エンジニアに相当する事務エンジニアが重要な存在となってくるでしょう。

繰り返せば、DXの時代だからこそ、業務フローの構築・修正、事務改善活動の周知・徹底などを担う事務エンジニアが重要視されるのです。