財務指標に影響を与える非財務指標

 今回から、「管理会計の外縁」として「会計と非財務指標」について何回かに分けて述べていきます。なお、ここでいう管理会計は、企業を対象にした通常の管理会計を意味します。

 昔、「においは、もとから絶たなきゃダメ」というCMがあったことを覚えておられる方もいらっしゃるでしょう(年がばれますね)。これは会計を考える際にもヒントになります。

 財務指標には必ず原因となる事象があります。例えば、売り上げが落ちた原因、費用がかさんだ原因などです。そして、ほとんどの場合、これらの原因は非財務指標で示されます。従って、結果としての財務指標をコントロールするためには、原因となる非財務指標をコントロールする必要があることになります。場合によっては、更に、当該非財務指標の原因となる非財務指標にまでさかのぼってコントロールする必要がある場合もあるでしょう。

 すなわち、財務指標で示される会計をコントロールするためには、その前段階に存在し、その原因となっている非財務指標をコントロールしなければならないのです。

 このように非財務指標にさかのぼって会計をコントロールしなければならない大きな分野として3つあります。すなわち、戦略自体のコントロールが会計を決める企業戦略の分野、現場の非財務指標を通じたコントロールが会計を決める現場業務の分野、それに、投資等の意思決定の際の見積りが会計を決める事業等の価値評価の3分野があるのです。

 そこで、次回以降、戦略、業務、事業等の価値評価の3分野について、なぜ非財務指標が重要となるのか、これらがどうして管理会計の範疇に入るとされているのかについて、順次、述べていきたいと考えます。