教科書にケンカを売る?:財政学編

 これまでの回では、公会計とそれに関連して政治、財政、経営等について述べてきました。この項目の最後に、天に唾を吐く感はありますが、財政学との関係について「教科書にケンカを売る?:財政学編」として言及したいと思います。

財政学の教科書には、財務会計としての公会計や、世代ごとの利得を示す世代会計についての記述はあります。

 その一方で、これまで述べてきたように、財政と会計に関連して考えるべき事項は数多く存在します。例えば、政治と行政の切れ目をどう入れるか、財政と会計との関係はどうあるべきか、経営を機能させる財政とはどうあるべきか、などです(以上について、便宜のため以下では「会計のそもそも論」といいます)。
 管理人としては、財政学においてもこれら「会計のそもそも論」についての考察があってもよいのではないかと考えています。もちろん、政治と行政の仕切りや財政と会計の関係などは時代とともに多少は変わるとは思いますが、それでもなお、過去からの流れがどうで、現在がどのような状況にあるのかなどについての整理があることがのぞましいと考えます。

 このように、財政学において、「会計のそもそも論」についての考察を踏まえつつ、会計を考えていく。こうすることにより、単なる技術論としての公会計等だけではなく、効率的・効果的な行政を実現していくための道具としての会計についても財政学の視野に入ってくると思います。その中には行政管理会計も存在するでしょう。

 財政学と公共経済学とはその内容が非常に似通っています。しかし、財政学に公共経済学とは異なる独自の特徴があるとすれば、以上のような「会計のそもそも論」、財務会計としての公会計等、それに行政管理会計といった項目が位置付けられるべきではないでしょうか。

 すなわち、管理人としては、財政学において、財務会計としての公会計等に加え、「会計のそもそも論」や行政管理会計論をもその内容に含めてはどうかと考えます。