変わりつつある組織の構造

 今回から何回かを使って、組織と会計について述べたいと考えます。なぜなら、組織をどうみるかにより、会計のみる際のポイントも変わるように思われるからです。
 現在、組織に関しては、組織の構造が変わりつつあるのではないかとの指摘があります。管理人もそこに着目します。ここではまず、組織構造の変化と企業経営の変化が連動しているのではと思われることを述べ、この企業経営の変化を受けて会計の焦点も変化しつつあることに言及します。そして、公共経営についても実はこれと同じ構図にあることを述べたいと思います。

 まずは、組織の構造の変化について述べます。現代の組織理論においては、組織構造により組織を3つに分類しています(Bevir『Governance』Oxford,2012,p.17)。

 第1には、19世紀から20世紀に活躍した社会学者であるマックスウェーバーが指摘した官僚型の組織です。権威に基づくガバナンスの下、メンバーは雇用関係を基礎に従属しており、軋轢解消と協調のために規則と命令が手段とされ、文化的には服従が重視されると整理されています。ここでは「官僚」とはいうものの、行政だけではなく、企業を含めて考えています。

 第2には、市場型の組織です。価格に基づくガバナンスの下、メンバーは契約と所有権を基礎に相互に独立している関係にあり、軋轢解消と協調のために論争が手段とされ、文化的には競争が重視されるとされています。

 第3には、ネットワーク型の組織です。信頼に基づくガバナンスの下、メンバーは資源の交換を基礎に相互に依存している関係にあり、軋轢解消と協調のためには民主的な手段がとられ、文化的には相互に互恵的な関係が重視されるとされています。

 ただし、これらの分類はあくまでも帰納的にそう整理できるということにすぎないので、そこには留意が必要です。

 以上、繰り返せば、組織は、官僚型の組織構造、市場型の組織構造、ネットワーク型の組織構造と変化してきているのです。