効率的・効果的な行政とは

 効率的・効果的な行政という場合の効率性、効果性(有効性)とは何でしょうか。

 実は、効率性、効果性の意味するところは論者によって幅があります。ここでは、組織内部に着目した場合における資源の投入(インプット)に対する財やサービスの産出(アウトプット)には効率性を、組織のおかれた環境を考慮した場合における組織の最終的な目的に対する達成度には効果性を用いることとします。
 例えば、国税組織の場合、効率性は、税務署内で行うペーパーワーク等の内部事務を合理化し、税務調査等の外部事務をいかに増やすのかといった点などが該当します。一方、効果性は、例えば、管内の産業事情や業況などのそれぞれに異なる環境のもとで、納税者の自発的な納税水準をいかに向上させるのかといった点などが該当します。効率性や効果性が何を意味するかは行政組織によって異なるでしょう。

 とはいえ、それぞれの行政組織において効率性・効果性を抽象的に考えるだけではなかなかイメージが湧きにくいかと思います。そこで、ロジックモデルを使って考えてみましょう。ロジックモデルでは以下のように考えます。

インプット → アクティビティ → アウトプット → アウトカム → インパクト

 ここでいうインプットは予算や人員などの資源投入量を、アクティビティは行政内部の活動プロセスを、アウトプットは財やサービスの産出量を意味します。そして、アウトプット以降は外部の環境の影響が徐々に大きくなり、アウトカムはそのもとでの中間的な成果を、インパクトは最終的な成果を意味します。この場合、インプット⇒アウトプットが効率性、組織の最終的な目的であるインパクトに対する達成度が効果性ということになります。

 したがって、効率性の向上は、組織内部のアクティビティの見直しなどを通じて、アウトプットを変えずにインプットを削減するか、インプットを変えずにアウトプットを増加させるか、あるいはこの両者の実現を意味します。また、効果性の向上は、インパクトに至る外部環境について、よりしっかりと踏まえて、インパクトに対する達成度をいかに上げるかを意味することになります。