行政管理会計とは

 管理会計を公(おおやけ)に応用する場合、あたまにかぶせる言葉には、行政、政府、非営利組織、公共部門などがあります。それぞれにニュアンスの違いがあり、一長一短があります。このような中で、管理人としては政治と行政という仕切りに着目しています。
 もちろん、政治と行政は明確に区別できるものではありません。政治においても行政への関与と配慮が求められますし、行政にも政治の意思に応えていくという応答性が求められます。また、その大まかな仕切りも時代とともに動いていることは否めません。
 しかしながら、大局的に見れば、政治と行政とはその守備範囲を異にしているとはいえると思います。そして、政治に対してこうあるべきとは極力いうべきでないと考える一方で、この行政の部分には管理会計が応用できると考えています。

 以上から、管理人としては、行政管理会計という言葉を用いています。

 行政における諸活動は、ある程度パターン化され、繰り返し生じる事象が数多く観察されます。この部分は企業の活動と非常に似ています。企業の活動をマネジメントしていくための道具立てとして管理会計があるように、行政の活動をマネジメントしていくための道具立てとして、行政管理会計が存在すると考えています。もちろん、そこには利益追求の有無やその必要性による違いはあるものの、マネジメントという側面を具体的に詳細に見ていけば、その道具立てに大きな違いはないといえるでしょう。
 また、行政以外の、病院や学校などの非営利組織や公共部門などであっても、このように、ある程度パターン化され、繰り返し生じる事象が数多く観察される場合は多いでしょう。行政管理会計はそこにも活用できるはずです。このように、行政管理会計の考え方は、非営利組織や公共部門などのうち、もっぱら政治が担う部分を除いた部分にも広く活用できるものと考えます。
 行政管理会計には、マネジメントのための様々な方法論(これを管理会計手法といいます)がいっぱいあります。これらの様々な方法論を頭に入れ、個別の行政組織等における個別の状況を踏まえて、どの方法論をどのように活用していくのかを考える。そのための議論が行政管理会計であると位置づけられます。