業務の5化(ごばけ)

ホワイトカラーの業務については、基本は製造業の工場のラインと同じように考えられるのですが、多くの場合、自分たちホワイトカラーの業務は工場とは違うといういわれなき意識が実践にあたっての阻害要因となります。これはコロンビア大学のオペレーション担当の教授もそのようにいわれていたので、万国共通の現象のようです。

ともあれ、オフィスにおけるホワイトカラーの業務を考えるに当たり、業務の「5化」(ごばけ)が参考になると思います。これは広島国税局や(独)都市再生機構の業務を観察していて(というか、職員から話を聞いていて)気付いたのですが、5つの化ける、すなわち、①標準化、②多能化、③視える化、④情報共有化、⑤平準化を、この順で考えていくことがポイントになるということです。

全ての業務においてもっとも重要なのが標準化です。これは誰がやっても同じようにできるようになるためには必ず求められます。優れた事務処理要領、あるいはマニュアルといってもいいのかもしれません。業務の品質確保のための前提条件となります。事務処理ミスを突き詰めると、結局のところ、標準からの逸脱か、標準そのものの不備かのいずれかに行き着きます。そして、事務改善活動などはこの標準の改定作業という位置づけとなります。

次に重要なのが多能化です。各職員が様々な業務を担うことができるようにすることをいいます。ヒトは本来的に多能な存在なので、それぞれの業務の標準化さえしっかりできていれば多能化はそんなに難しいことではないでしょう。

更に、視える化です。これは各職員がどのような状態にあるのか、業務の進捗状況を視えるようにしておくということです。次にくる情報共有化の前提として、この視える化は必須のものとなります。

そして、情報共有化です。視える化された各職員の業務の進捗状況に関する情報や今後の業務の見通しなど、組織の様々な情報を共有化しておくということです。これができていると、誰がどう動かなければいけないのか、どこにカバーに入らなければいけないのかなどが自然と発想できるようになります。

最後が平準化です。これは業務のでこぼこ(繁閑)をなくすということです。ムリをするとムラができる、ムラができるとムダができやすい、という前回述べた業務フローの基本を踏まえると、この平準化の重要性はお分かりいただけるのではと考えます。

業務が標準化・多能化されることにより、誰でもその業務を担うことが可能となります。業務の状況が視える化・情報共有化されることにより、どこに手助けが必要かが一目瞭然となります。これらの結果、業務の平準化ができるようになり、効率的な業務フローが実現できるのです。