従来型の行政と会計

 これまでは企業経営と会計について言及してきましたが、今回からは公共経営と会計について述べ、組織構造の議論と重なり合うことを指摘したいと思います。なお、公共経営に関する議論には、従来型の典型的な行政のほか、ニューパブリックマネジメント(New Public Management:以下ではNPMといいます)とニューパブリックガバナンス(New Public Governance:以下ではNPGといいます)に加え、少しややこしいのですがニューポリティカルガバナンス(New Political Governance:以下では便宜上NPoGと表記します)があります。行政ではNPoGもNPGと並んで重要な動きなのですが、これは政治と行政の関係が中心であり、組織構造の議論とは少し距離がありますので、後日触れることとします。従って、本稿では従来型の行政とNPM、NPGについて順次述べていきます。

 まず、従来型の行政です。従来型の行政においては、市民を有権者やタックスペイヤーと位置付けていました。また、法的には規制が優先され、官僚機構が一体となって政策の実施を担うこととされていました。そこではインプット(行政サービスを提供するために投入されたリソース)や組織内のプロセスに焦点が当てられており、規則遵守が主要な業績とされていました。
 たぶん、これは想像しやすいでしょう。わが国の行政では、つい最近までの一般的なイメージであったと思います。

 このような従来型の行政の下、会計では不正を防止するという趣旨が優先されていました。具体的には、間違いが生じないように相互牽制機能を果たすべく定められた会計手続としての会計という位置付けでした。

 以上から、従来型の行政は、前述の組織構造でいう官僚型の組織と重なり合うといえるでしょう。そして、そこでの会計は不正防止手続としての会計という位置付けでした。