コロンビア大学と会計

昨年の8月末にニューヨークに来て11か月近くとなりました。今回はコロンビアビジネススクールを含めたコロンビア大学と会計についての印象などを述べたいと思います。

コロンビア大学は正式名称をColumbia University in the City of New Yorkというだけあり、ニューヨークに所在していることを売りにしています(因みに、ビジネススクールは、at the very center of businessを売りにしています)。ニューヨークにはウォール街がありますので、ビジネス系のコースではウォール街を意識した科目編成になっていると感じられます。
会計はもちろん、ファイナンス論も基礎から上級までありますし、決算書を読み解いて企業価値評価(Valuation)を行うコースなども揃えています。実務と兼務されている教授も多く、学生もファイナンスのバックグラウンドを持つ方が多いです。全体として、企業価値評価には大変に力を入れているように思われます。

その一方で、オペレーション(業務)に関する科目は少ないように感じられます。教えている教授も少ないですし、科目も工学系大学院(Engineering)と共通となっているものもあり、工学系の学生が参加したりしています。
加えて、戦略とオペレーションをどうつなげるのかという点に着目した科目は、管理人1の知る限り、たぶんないと思います。

企業価値評価に際しては当該企業の戦略は重要です。戦略を踏まえつつ企業価値評価をするといっても過言ではないでしょう。
その一方で、オペレーションへの関心はそもそも大きくない。戦略をオペレーションにどう落とし込むかという視点は限られたものとなっている。こういっても過言ではないでしょう。
企業価値評価は数式の美しさが感じられることもあり、人気のある分野ですが、これまで言及してきましたように、ひと皮めくると、数式で表現されないところに課題が多くあるということだと考えます。そして、その一つが戦略と業務の連結だと思います。

最後に、コロンビア大学に関連して2つ述べたいと思います。
1つは、ビジネススクールのあるコースでは産業スパイについての注意喚起があったことも印象的でした。いくつかの国を挙げて、彼らは国家の後押しの下、近づいてくるから気をつけろと、具体例や写真を挙げつつ述べていたのが印象的でした。担当教授に伺ったところ、「彼らの多くはウォール街で働くことになるので、やはり注意しておかないといけないんだ」とおっしゃっていました。
もう1つは、企業価値評価の中でも難しいあるコースでは、実務と兼務する教授が積極的に学生とランチをとっており、また、学生の方も、積極的に教授に自分を売り込んでいるのが印象的でした。優秀な人材のリクルートを兼ねているのかもしれません。確かに、実務家がビジネススクールの中で上級のコースを持てば、究極の青田買いができます。「なるほどなあ」と感心するとともに、「皆さん、頑張ってくださいね」と思いました。

Columbia’s Morningside Heights campus
116th Street in Manhattan 地下鉄1ライン
Columbia Business School 新校舎 Manhattanville Campus
125th Street 地下鉄1ライン (撮影:管理人2)