生産性の議論と業務マネジメント

5か月ほど間が空いてしまい、申し訳ありませんでした。

事情を申せば、管理人1においては年末以来、当地で作成している2つの英文論稿が思いのほか(というか、当たり前ですね)苦戦してしまい、余裕がなくなっていました。つい先日、コロンビア大学の日本経済経営研究所のホームページでようやく公表するに至り、ひと段落となりました。
また、管理人2においてはコロンビア大学のALP(アメリカンランゲージプログラム)の3か月半コースに通い、まったく余裕がなくなっており、コース終了後もその負担からか疲れがとれずにいたところです。
大学のキャンパスにいると、(鏡さえ見なければ、あと、お互いさえ見なければ、)若いころの自分に戻った感覚でいられます。それ故に無理をしがちになりますが、残念ながら若手とはいえかねる年齢となりましたので、体調には留意しつつ、無理のないように過ごしていきたいと思っています。

ということで、今回から「業務マネジメント」の項にはいります。

管理会計においては、伝統的に戦略の下に位置付けられる業務マネジメントが議論の中心でした。管理会計では業務をいかに効率的に行うかが重要な視点のひとつとなります。このため、経済学の生産性の議論と関連することになります。
経済学ではもっぱら付加価値生産性が議論されています。付加価値のもとになるのは売上高ですので、(効率的ではなくても)高くさえ売れれば生産性も高くなります。付加価値生産性では効率的かどうかということはうまくとらえることができません。したがって、付加価値生産性が高いからといって、効率性という意味での生産性も高いとすることは、現実をみる道具としては不十分となります。
例えば、総じてみれば、米国企業の生産性は高いかと問われれば、付加価値生産性でしか比較できないので、その生産性は高いということになります(もちろん一般的にということです)。しかし、米国企業の効率性が高いかと問われれば、そういいきれる方は少ないと思います(だからといって日本企業の効率性が高いとはいっておりませんので、ご留意ください)。

すなわち、管理会計論は、国際比較で用いられる付加価値生産性の議論ではうまくとらえられないもの(ミクロの効率性や企業ごとの効率性など)について、近接して観察しつつ明らかにしていくものであり、その違いが一番大きく現れるのが業務マネジメントの分野になると考えています。