ウィズコロナ時代の戦略マネジメント

 世界的に見ればCOVID-19がなかなか収束しない中、ウィズコロナの時代といわれるようになりました。テレワークも、一時に比べれば下火になったケースもあると思いますが、趨勢としては拡大していく傾向にあるといっていいでしょう。
 因みに、テレワーク(telework)とは、離れた場所(tele)とworkの2つをあわせた造語ですが、その歴史は長く1970年代には用語として生まれ、欧米を中心に業務遂行の一つの手段としてとらえられてきました。わが国では、テレワークとはICTを活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方とされています。

 ウィズコロナの時代におけるテレワークの下で大事なことは、戦略の可視化と戦略の徹底が非常に重要になるということです。

 戦略の可視化とは、文字通り、戦略そのものを見える化(可視化)することを意味します。そこでは、戦略を直感的にわかりやすく示すことが非常に重要となります。とりわけ、図解がポイントとなるでしょう。そして、そのためのツールとして、以前にも言及しましたが、矢印(→)で戦略を表現できる戦略マップやロジックモデルの活用が有力視されています。
 このように戦略の可視化が重要視されるのは、テレワークの下では従業員は空間と時間を共有せず、物理的に離れていることから、戦略が何となく共有されることが期待され得ないからです。このため、そこに工夫が必要となり、戦略そのものをいかに直感的にわかりやすく示すかが重要となるのです。

 戦略の徹底とは、文字通り、戦略を組織内で現場レベルまで徹底させることを意味します。そこでは以前にも言及した、カスケード、コミュニケーション、アラインメントが重要となります。
 このように戦略の徹底が重要視されるのは、テレワークの下では従業員は空間と時間を共有せず、物理的に離れていることから、経営層が描いた戦略が何となく浸透していくことが期待され得ないからです。このため、カスケード、コミュニケーション、アラインメントを意識して実践していくことが重要となるのです。
 因みに、戦略の徹底と上意下達は異なります。なぜなら、戦略の徹底とは、経営陣がいったん描いた戦略についてカスケードしつつ、組織内でコミュニケーションをとりながら修正し、組織全体でアラインメントをしていくことが求められるからです。従って、これは、経営層が描いた戦略を組織下部に押し付ける上意下達とは全く異なるものとなります。

 このほか、ウィズコロナの時代には業務のムダが明確にわかるようになりました。管理会計の観点からはこれも重要な論点なのですが、この点については業務マネジメントのところで後述します。